オオミジンコの藻類摂食率測定
CASYを利用した生物の健康状態に関する重要な指標の評価
アプリケーション
オオミジンコの藻類摂食率測定
はじめに
動物の健康に関する表現型マーカーは、規制毒性学にとって不可欠な要素です。オオミジンコ(Daphnia magna)は、淡水の生態毒性学において重要な生物種です。摂餌量は動物生理と健康において重要なマーカーです。ミニチュア化された方法を開発すれば使用する動物の数が減り、培地や化学物質の量も減るだけでなく、実験室のスペースも小さくなり、さらに検査の自動化に対応できるようになるため、かなりの時間短縮につながる可能性があります。
さらに、表現型マーカーをウェルあたり1匹という究極のレベルまで小型化することで、行動反応など他の表現型マーカーの複数回の測定が容易になり、個体レベルで統合できる可能性があります。
CASYセルカウンターを用いて、異なる化学物質に対して従来の試験と同等の結果を得ることができるマルチウェルプレート試験方法を開発しました。
- 異なる藻類濃度・液量と生物濃度の与える影響を検証したうえで、金属がオオミジンコの摂食率に与える影響を検証すべく下記の通り小規模化した実験を行いました。
- オオミジンコを薬品または汚染物質に規定の時間曝露し、藻類(クロレラまたはクラミドモナス)の懸濁液を用意し、CASYで濃度を測定しました。
- その後液量が一定の藻類懸濁液が入ったウェルプレートにオオミジンコを映し、摂食期間(通常1~2時間)を設けたのちオオミジンコを取り除いて各ウェルの藻類濃度を測定しました。
- 藻類が消費された量または摂食率は、各ウェルの藻類濃度の違いにより算出しました。(図1.)
結果
前述のように手法を標準化した後、金属が摂餌量に与える影響を分析しました(図2)。
コントロール (0) では、オオミジンコの摂餌量は明らかに日齢と相関していることがわかります。
さまざまな金属(Cu (0.05 mg/l), Ni (8 mg/l), Cd (0.1 mg/l))に 24 時間暴露した後、摂餌量は著しく低下しました。
24 時間の金属曝露に対するオオミジンコの反応は日齢によって異なり(D7, D17, D27)、日齢の大きい個体はより大きな変化を示しました。
まとめ
摂餌量は枝角類のエネルギー配分を推定するための重要なパラメータであり、この試験方法は毒性学的研究に貢献する可能性があります。
本研究では、オオミジンコの急性毒性および藻類摂食量測定のために最適化された小型の試験システムを開発しました。
その結果、マルチウェルを用いたオオミジンコの毒性試験が実現可能性であることを確認できました。従来のアッセイよりも時間と材料が少なくて済み、単一動物レベルでの表現型の特徴づけが可能です。
CASYセルカウンターを用いることで、生態毒性学的なアプリケーションにおいて高速かつ高感度に、シンプルでラベルフリーな測定が可能です。
著者:Prof. Dr. Konstantinos Grintzalis
School of Biotechnology, Dublin City University, Dublin, Ireland
School of Biosciences, University of Birmingham, Birmingham, United Kingdom
引用:
1. Grintzalis K, Dai W, Panagiotidis K, Belavgeni A, Viant MR.
Miniaturising acute toxicity and feeding rate measurements in
Daphnia magna. Ecotoxicol Environ Saf. 2017, 139:352-357.
https://doi.org/10.1016/j.ecoenv.2017.02.002
エレクトロポレーション
■ 培養細胞
- 初代培養細胞
- iPS細胞・ES細胞・幹細胞
- オルガノイド
- 株化細胞
- 培養細胞(NEPA Porator)
- 付着状態の細胞
■ In Vivo マウス・ラット
- 受精卵(TAKE法)
- 受精卵(i-GONAD/r-GONAD法)
- In Utero胎児
- Ex Utero培養胚
- 脳・脳切片・培養脳組織
- 網膜・角膜・脊髄・坐骨神経
- 肺・脾臓・肝臓・腎臓・胃・腸
- 膵臓・ランゲルハンス島
- 精巣・卵巣・前立腺・生殖腺・子宮
- 筋肉・皮膚・関節・軟骨・腫瘍・その他
■ In Vivo その他の動物
- ウシ・ブタ・その他の動物の受精卵
- ハムスターi-GONAD法
- サル皮膚
- ニワトリ(In Ovo・その他)
- ゼブラフィッシュ・その他の魚
- 昆虫・その他
■ 植物細胞・藻類
- 植物細胞
- 藻類
■ エクソソーム
- エクソソーム
■ バクテリア・酵母・菌類
- 大腸菌・バクテリア(細菌)
- 酵母・菌類
- 大腸菌・バクテリア・酵母・菌類(NEPA Porator)
ドラッグデリバリー・遺伝子導入
■ ナノ粒子作製
- 概要
- 脂質ナノ粒子(LNPs)
- 脂質ナノ粒子 (LNPs) のスケールアップ
- リポソーム
- ポリマーナノ粒子
- T細胞への遺伝子導入
- 造血幹細胞への遺伝子導入
■ 超音波(ソノポレーション・FUS)
- 遺伝子導入の概要
- 脳
- 肝臓・皮膚・その他
- 心臓
- 培養細胞
- 肺
- 筋肉
■ ジェットインジェクション
- マウス・ラットの皮膚
■ パーティクルデリバリー
- 植物
- 動物
■ マイクロインジェクション
- 植物細胞
電気式細胞融合
■ ハイブリドーマ作製
- モノクローナル抗体産生など
■ 卵子活性化
- 顕微授精(ICSI)の前・後の電気刺激など
■ 体細胞核移植
- クローン動物の作製
■ 四倍体胚の作出
- テトラプロイドキメラの作製など
■ その他
- リポソーム・プロトプラスト・酵母など
蛍光組織染色・in situ HCR
■ 蛍光組織染色
- 蛍光組織染色
■ in situ HCR
- Hybridization Chain Reaction
細胞分離
■ 幹細胞分取
- 幹細胞の分取・回収
- VIVANT-CELL®-Pot
1細胞回収・マイクロダイセクション
細胞凍結
細胞・微生物培養 (解析/計数/伸展/灌流)
■ 微生物ライブイメージング・解析
- 薬剤感受性試験
- 食品微生物学
■ リアルタイム細胞解析
- 細胞増殖
- 細胞遊走・創傷治癒
- 細胞毒性
- 細胞バリア機能
- 細胞変性(ウイルス学)
■ 細胞計数分析
- 株化細胞
- 幹細胞
- 初代培養細胞
- バクテリア
- 酵母
- 藻類・原虫
- 血液関連細胞
- その他
- 実験例:細胞毒性評価
- 実験例:藻類摂食率測定
■ 細胞伸展培養
- メカノトランスダクション
- 遺伝子発現
- 細胞接着
- 伸展活性化チャネル
- ナノマテリアル
■ 細胞灌流培養
- 加圧培養
- 薬剤応答
- 細胞分化・長期
- 蛍光観察
In vivo 超音波イメージング
卵振動培養
■ 卵子・胚盤胞
- 単為発生卵子および体細胞核移植胚 に由来する胚盤胞の効率的生産