微生物の薬剤感受性試験

oCelloScopeで抗菌剤耐性に挑みましょう

 

新たな薬剤耐性菌の出現に対応し、新規抗生物質の発見や耐性メカニズムの解明を進めるためには、高速かつ高感度な分析手法が求められています。

oCelloScopeは、自動化された高感度なデータ取得と解析により、成長曲線と画像・動画を組み合わせて結果取得までの時間を短縮。迅速なスクリーニングを可能にし、手作業の負担も大幅に軽減します。

 

微生物の薬剤感受性試験

アプリケーション

米国CDCは炭疽菌の抗菌薬感受性試験の時間を1/4に短縮

 

米国疾病管理センター(Centers for Disease Control)のMcLaughlin et al.(2017)により、oCelloScopeを用いることで、従来の手法よりもはるかに高速に炭疽菌の増殖を検出できることが示されました。微量液体希釈法(Broth microdilution:BMD)では16~20時間かかるのに対し、oCelloScopeでは4時間以内にMIC測定に必要なデータを取得できます。標準的な従来法と比較して、oCelloScopeの測定感度が非常に高いのは、特殊な画像解析アルゴリズムが組み込まれているためです。oCelloScopeは単一細胞を検出することもでき、10^3 CFU/mlの濃度から増殖を定量化することができます。

大腸菌増殖の測定

oCelloScope大腸菌測定

BCA(:Background Corrected Absorption(oCelloScopeによる増殖データ)
TA(:Total Absorption(oCelloScopeによるOD測定相当の増殖データ)
OD(plate reader)(黒):他社のマイクロプレートリーダーによるOD測定での増殖データ

 

oCelloScope大腸菌画像

0分、120分、240分の時点のoCelloScopeによる大腸菌の画像
240分の時点で大腸菌の増殖が見られる(上のグラフのBCA(赤)と一致)。

高精度なMIC測定

プレートの概要が自動的に表示されることにより、実験の評価を素早く行えます。

oCelloScopeの利点は、結果が出るまでの時間が短いことだけではありません。Fredborg et al.は、抗生物質と細菌の組み合わせを168通り試験し、算出されたMICの全体的な一致率が96%であったことから、oCelloScopeによるデータには妥当性があると結論付けています。薬剤感受性試験とMIC測定のプロトコールはこちらからご覧いただけます。

β-ラクタムによるグラム陰性菌の形態変化を追う

oCelloScope morphological change

大腸菌の形態変化

oCelloScopeは高感度な測定とリアルタイムイメージングを兼ね備えているので、ユーザーは細胞の形態変化を経時的に分析することができます。細菌の平均的長さの区分け・抽出をもとにしたSegmentation and Extraction of Average Length (SEAL)アルゴリズムにより、桿菌のフィラメント形成を検出することも可能です。米国CDCのMcLaughlin and Sue (2018)が発表した論文では、SEALアルゴリズムを用いて類鼻疽菌( Burkholderia pseudomallei)の平均細菌長(μm)をセフタジジム(CAZ)の有無で比較測定しています。

マイコバクテリウムの測定

薬剤感受性試験

oCelloScopeは、バクテリオシンの抗菌活性を評価するためにも使用され、嚢胞性線維症患者におけるマイコバクテリウム・アブセッサス(Mycobacterium abscessus)感染症に対する新たな治療に道を示しました。Mycobacterium abscessusは、急速に増殖するマイコバクテリア(RGM)の中でも最も薬剤耐性の高い菌の一つであり、ほぼすべての抗結核剤を含む現行の抗生物質に対して耐性を持っています。これに関するアプリケーションノート(ベルギーのSyngulon社とSaint Luc病院による)はこちらをクリックしてください。

コロニーの増殖の定量化

ミニ寒天ディスクを使用することにより、従来の寒天上での目視試験より優れた測定を提案します。oCelloScopeソフトウェアでは、わずか10µmのコロニーから微生物の増殖を経時観察し、定量化することができます。薬剤感受性試験を行うユーザーは、ブロス培地での結果と寒天培地での結果を比較することができます。

上の動画では、寒天ディスク上の一部またはすべての微生物を選択し、増殖を分析する方法をご覧いただけます。手動選択、もしくは円形度・縦横比・面積などさまざまな基準に従った選択が可能で、ある時点での選択、もしくは全ての時点での選択が可能です。

真菌の薬剤感受性試験

真菌の薬剤感受性試験

Aspergillus Fumigatus(アスペルギルス・フミガタス)の臨床サンプルに異なる濃度のボリコナゾールを使用して、12時間のアッセイでMIC(最小発育阻止濃度)を確立

Covid-19の間、患者で最も一般的に報告された真菌感染症には、アスペルギルス症、侵襲性カンジダ症、ムコール症(通称「黒い真菌」)が含まれます。oCelloScopeは、真菌の薬剤感受性試験(AST)研究で広く使用されており、アスペルギルス・フミガタスに対する12時間の表現型薬剤感受性試験を正確に行うことが可能です。BioSense Solutions社は、真菌の成長を追跡するための専用のプログラムを開発しており、さらに、胞子発芽を追跡するAIプログラムと組み合わせることで、48時間かけて顕微鏡で読み取るMICと比較して、時間枠を大幅に短縮できます。

真菌の薬剤感受性試験のAIプログラム

Aspergillus Fumigatusの胞子

異なる濃度の抗生物質を用いたAspergillus Fumigatus(アスペルギルス・フミガタス)の臨床サンプル

A. fumigatusのAIプログラムは、胞子の発芽を追跡するために使用され、その結果は発芽率(%)として表示されます。カーブの最初の上昇は、胞子がウェルの底に沈降する過程を示しています。プログラムは、胞子が休眠状態から膨張状態に進むのを追跡し、等方的な成長が始まると追跡を終了し、カーブが下がります。

Aspergillus Fumigatusとイトラコナゾール

左:サンプル内に見られる未発芽の胞子、 中央:サンプル内の胞子のカウント、 右:サンプル内のイトラコナゾール結晶

 

BioSense Solutions社は、特定の真菌の胞子を認識しカウントするように訓練されたAIプログラムを開発しました。分析時間を短縮し、真菌の薬剤感受性試験を数日ではなく数時間で完了できるようになったら、それは素晴らしいことです。

なお、イトラコナゾールは溶液中で結晶沈殿を形成し、プレートリーダーで誤った測定結果を引き起こすことがあります。しかし、こうした望ましくない現象は、oCelloScope技術により可視化して避けることができます。

胞子の数は、96ウェルプレートでエラーバー付きで三重測定されます。

カンジダ属菌

カンジダ属菌

Candida auris(カンジダ・アウリス)は、多剤耐性を持つカンジダであり、世界的な人類の健康にとって深刻な脅威となっています。oCelloScopeは、カンジダに対する抗真菌薬の薬剤感受性試験(AST)に使用することが可能です。本ライブセルイメージングを使用した興味深い発見の一つは、イトラコナゾールで処理されたサンプルでの結晶の沈殿です。

抗真菌薬による形態の変化

Antifungals

抗真菌薬は、ターゲットとなる真菌の形態を変化させることがあります。

oCelloScopeの用途として、96ウェルプレートを使用した真菌の薬剤感受性テストがよく行われます。ペニシリウム、アスペルギルス、ニューロスポラのような速成長種に対しては、通常、96ウェルプレートを12時間にわたり毎時間撮影します。その結果、休眠状態から発芽に至るまでの時間経過を視覚化したタイムラプスの連続画像が得られます。薬剤投与後、胞子は、休眠したままの状態を維持したり非常に大きくなったり、複数の発芽管を持つ異常な発芽を示すこともあります。発芽後の菌糸の成長は、コントロールウェルとは大きく異なる場合もあります。oCelloScopeにより、そのような真菌の挙動を捉えることが可能になりました。

文献

エレクトロポレーション

ドラッグデリバリー・遺伝子導入

電気式細胞融合

蛍光組織染色・in situ HCR

細胞分離

1細胞回収・マイクロダイセクション

細胞凍結

細胞・微生物培養 (解析/計数/伸展/灌流)

In Vivo イメージング・モニタリング

卵振動培養